イギリス・ロマン派と出版文化の変遷—『文筆業の文化史』の魅力
イギリス・ロマン派と出版文化の変遷—『文筆業の文化史』の魅力
1800年代、イギリスは「読者の国」へ
『文筆業の文化史』は、イギリス・ロマン派時代の出版文化の発展を詳細に描いた名著です。著者A・S・コリンズは、スコットやバイロン、コールリッジらが活躍した時代における出版業の変遷を分析し、読者層の拡大とともに変化する文筆業の姿を浮き彫りにしています。
ロマン派時代の出版業の変化
18世紀末から19世紀初頭にかけて、イギリスでは出版業が急速に発展しました。特にロマン派の作家たちは、従来のパトロン制度から脱却し、出版社との契約によって収入を得るようになりました。スコットやサウジーらの印税額や発行部数の変化を通じて、文筆業の経済的な側面も明らかにされています。
一般読者の成立と出版文化の成熟
本書では、一般読者の成立が出版文化に与えた影響についても詳しく論じられています。道路の改良や郵便馬車の発達など、情報伝達手段の進化が読書文化の普及に貢献したことが示されています。また、産業革命による都市の発展が、急進主義や自由主義の思想を広める要因となったことも指摘されています。
『文筆業の文化史』の意義
本書は、近代出版文化の形成過程を理解する上で欠かせない一冊です。ロマン派時代の作家たちがどのようにして読者とつながり、出版業者と協力しながら作品を世に送り出したのかを知ることで、現代の出版業のルーツを探ることができます。
『文筆業の文化史』は、出版文化の変遷を知りたい読者にとって、貴重な知識を提供する一冊です。
文芸主義的なコミュニティのはせめらる出版
本 ISBN 9784882025849 作者 A・S・コリンズ 遺訳者 青木健 榎本洋 出版社 彩流社 出版日 1999年06月 サイズ 315×14P20cm 分類 文化一般、文化・民俗 原書名 The profession of letters 品番 ブンピツギヨウノブンカシイギリスロマンハトシユツパン 登録日 2013/04/07